テーマ 172 部下育成計画は“部下が主体的に行動”するためのもの、
部下を管理するためのものではない
■現実的で実現可能な計画が日々の仕事の大きな動機づけとなる
部下育成計画(6ヶ月間の部下の仕事の目標、行動計画)は、
上司が主導的な立場で作成致しますが、
これは、上司の権限で部下に仕事をさせる
ためのものではありません。
部下の方の内からの衝動をつくり、
部下の方が主体的に仕事を取り組むためのものです。
また、そのような内容となるように部下の希望や意見を
十分に聴き作成しなければなりません。
そして、部下の方が、主体的、計画的に仕事に取り組める
ように文書にし、「見える化」することが必要です。
文書にし、「見える化」する目的は
部下を管理するためではありません。
「見える化」の目的は、部下の方の育成にあたって、
上司と部下の方がともに目標達成に向けて
「合目的的、科学的な行動を行う」ためのものです。
上司と部下がそれぞれの期待と希望を踏まえ、
上司と部下がお互いに納得のいく形で作成した目標と、
その目標を実現するための具体的行動が
明確に文書として「見える化」され、
それが実現可能なものであれば、
お互いに取り組まない理由は何もありません。
部下の方は、6ヶ月後の自分の姿、目標、行動計画が
文書化され現実化できるという確信がもてると
日々の仕事の大きな動機づけとなり、
意欲的、主体的に仕事に取り組みます。
「見える化」を行うと、あいまいなもの、ばくぜんと
しているものが明確になるという効果があります。
「測定できるものは、実行される」という
言葉があるように、「見える化」することにより、
行うべきことが明確となり、行動が伴い、
実現度が高まります。
部下の育成においても部下の方の
今後6ヶ月間に獲得すべき成果とそのための
毎月の行動計画を「部下育成計画シート」として
「見える化」することが必要です。
■上司と部下が共有する「部下育成計画シート」が、
仕事を中心とした、強力なコミュニケーション
ツールとなる
「P・F ドラッカー著 新しい現実 ダイヤモンド社」の著書の中に、
「一人の指揮者のもとで数百人の音楽家が共に演奏できるのは
全員が同じ楽譜を持っているからである。」
との文章があります。
この文章を職場の実務の視点で考えますと、
数百人の音楽家が集団を形成しているオーケストラが、
一人の指揮者の元で素晴らしい演奏ができるのは、
次の二つの理由が上げられると思います。
@全員が楽譜(目標と行動計画)を持っている。
・いつ、だれが、何を行うのかが、「見える化」され
明確になっている。
A一人ひとりが楽譜に基づき最高の演奏をするための
行動に徹することが実践できている。
・一人ひとりが自分の役割と楽譜(目標と行動計画)を
認識した仕事が実践できている。
職場の部下育成において楽譜は、一人ひとりの部下の目標
そして目標達成のための行動計画といえます。
上司と部下の会話においては、コミュニケーションのための
コミュニケーションを考えるのではなく、
あくまで目標や行動計画表(楽譜)に基づいて
目標達成のためにどのようにするとよいのかを
基本に会話を行うことが重要となります。
上司と部下の会話において、生産性の高い業務、
生産性の高いコミュニケーションを実現するためには、
目標や行動計画表という楽譜を持つことが必要です。
目標や行動計画表を「見える化」した
「部下育成計画シート」という楽譜が
上司と部下との強力なコミュニケーションツールとなります。
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